2018.6.21
治療費のお話し
その他
今年も気づけば6月の梅雨の時期を迎え、雨の日と気温の低い日が続いていますが、体調など崩されてはいないでしょうか?まだまだ夏を迎えるまではお仕事モードの方がほとんどかとは思いますが、出張などで国内外へお出掛けの際には、十二分の備えと、時には『出かけない』という勇気もお持ち頂きたい!そんなお話です。体調が悪いのを押してでかけたがため、旅先で病院に駆け込むことになったり、救急車などで搬送されたりすることになった‥さらには現地での入院・手術を余儀なくされるケースもでてきます。住み慣れた土地で、しっかりとした保障や周囲のサポートを受けて治療ができたとしても、肉体は勿論、精神的にも多大なダメージを受けます。そして‥経済的にも負担を感じる人がほとんどだと思います。私は医療機関で働かせていただいてはいますが、医療に関するアドバイスなどは全くできません。が、『治療費』に、かんしては患者として支払いをする立場と、医療機関で患者さんから、お支払いただく両者の立場からみえることもあるので、少しお話してみたいと思います。日本国内では、保険が適応されれば、窓口での個人負担は3割です。この『3割負担』を『治療費』と捉えている方がかなり多いのではないでしょうか?あとの7割は、医療機関から支払基金等を通じて保険者に請求し、そこから支払いが行われます。医療機関が受けとる診療報酬はこの7割と、窓口で患者さんにお支払いただいた3割を足した10割で、これがいわゆる『治療費』となります。もし、保険の適応がない場合は、治療費のすべてを支払うことになりますが、実際にはどの程度になるのでしょうか?ひとつ、例をあげてみます。最近、家族の一人が『網膜剥離』を発症し、都内の病院で1週間の入院と右目の手術を受けました。退院時の支払いは、食事代の負担額を差し引いて24万円ほど。これは当然窓口での『3割負担額』にあたります。もしこれを、健康保険の効かない10割り負担で支払わなければならないとすると‥負担額は80万円ほどになります。日本国内で、もし保険証を持参せずに初診で受診する場合には、窓口で一旦10割負担で治療費を支払い、保険証を持参した際に、7割分を返金してもらうというのが、多くの医療機関で採用しているルールです。ですからもし、日本国内でも遠出をされる際、いえ、常日頃から『健康保険証』を持参することを習慣にしていただきたいと思います!!さらに!海外で同じような治療を受けた場合は当然、日本の健康保険の適応を受けられません。当然、100%自己負担となります。(日本に帰国後、支払った治療費の一部を加入している健康保険が負担してくれる『還付請求』という制度がありますが、こちらはまた別の機会にお話できればと思います。)さらに、自国での健康保険適応外の患者に対し、10割以上の割増料金を設定している場合もあります。日本国内の病院でも同様で、日本の健康保険を持たない外国人診療などに対し、20割~30割の治療費を設定している病院が一般的かと思います。病院側からみてみると、言葉や文化の違いなどにより、通常よりも長い治療時間や複雑な事務手続き、多言語化のための体制つくりにかなりのコストがかかるため、また治療費の未払のリスク等を考えると、この割増請求は妥当かとは思います。が、支払う側からみれば非常に大きな負担です。先程の網膜剥離の案件を例にすると、保険適応で24万円だった負担が、10割で80万円、30割なら240万円となります。日本国内の相場によっての目安をおはなししましたが、私達が海外で治療を受ける場合には、治療費の『0』がひとつ増えるのは当たり前、という意識をもって、おでかけいただきたいとおもいます。日本の治療費自体が海外に比べて安いほうなので、実際はもっと負担額が増える事を想定して、おでかけ前に旅行保険の購入と購入した保険の補償額を確認していただきたいとおもいます。ここまでは、国内外での治療費について、どのような違いがあるのかをお話ししてみました。次回は、海外に渡航する際の『備え』と我が家のこの春の選択『出かけない』勇気についてお話したいと思っています。