2020.1.31
巷で噂のあのウィルスについて…
国内医療情報
インターナショナル ヘルスケア クリニック 医師 鷲尾美香です。
今回は、巷でかなり話題になっているコロナウィルスについて、少しお話しをしたいと思います。
コロナウィルスは風邪の原因となるウィルスの一つで、風邪のうち10-35%がこのコロナウィルスが原因だと言われています。
コロナウィルスに限らずウィルスは、日々変化と進化をしております。 ウィルスといえども人と同じ生物ですから、生き残るために進化して当然です。
今話題の新型コロナウィルスも進化を遂げてでてきたもので、自然の流れですよね。
新しいもの(新型コロナウィルス)は、その性質等よくわからないので、つい恐怖を感じて過剰な反応を取ってしまいがちですが、そういうときこそ、冷静に情報を整理して、ウィルスの性質を把握し、適切な対応を取るようにして下さい。
そこで、新型コロナウィルスについて今ある情報からその対策についてお話します。
1月30日にWHOは、緊急事態宣言を出しております(少し遅いように思いますが)。ただ、この新型コロナウィルスは、重症化する確率が高いSARSのような感染症ではなく、重症化する確率はインフルエンザと同等程度かな?という感じです。感染力については、インフルエンザと同じくらいという事です。となると、今はまだ有効なワクチンがない新型ウィルスの広がりは、急速かつ広範囲になると予測されます。時代はグローバルへと変化している昨今、ウィルスもその波に乗って、世界中に急速かつ広範囲に広がる事でしょう。
重症になる確率が低いと言えども、感染したくないですよね。
そこで、感染予防は重要になってきます。新型コロナウィルスといっても基本的な予防は、インフルエンザと同じようにすればよいと思います。
予防としては以下のようなことが大切です。特に①②はすべての感染症の予防の基本になります。
①手洗い・うがい
手洗いとうがいが一番大切です!
手洗いは、流水で石鹸など使ってきれいに洗いましょう。よくあるアルコール消毒のみだけをちょっと手につけるだけでは、気持ちは「消毒した!」ですが、不十分です。ウィルスを洗い流すように手を洗いましょう。うがいもしっかり行ってください。「少しずつ水分を取る」など、のどを洗い流すような行為も効果的です。
②体調管理
これは、基本の基本です!十分な睡眠とバランスの良い食事。疲れを貯めない。健全な生活をすることで、健康を維持し、予防と未病の基礎となります。また、糖尿病、呼吸器疾患や心疾患などの基礎疾患をお持ちの方は特に注意が必要です。ウィルスなどが体内に侵入して来ても、抵抗できるように「体調良好」という土台をしっかり作りましょう。
③マスクについて
他の人からのウィルス感染を予防する目的でマスクを着用するというのは、案外難しいです。医療者においてもどれほどの人が、うまくマスクをつけているか疑問なくらいです。マスクをする際には、N95などのウィルス対応可能なマスクで、顔とマスクが密着するように装着しないといけません。また、自身が感染していて咳などで他の方に移さないようにマスクの着用することは、ある程度有効ですのでマスク装着をお勧めします。
④感染症が流行っている時は、人混みは避ける
これは大都市など住んでいる地域によっては難しいですが、イベントなどはいかないようにして多くの方との接触の機会を減らすようにする。
ではかかった時はどのような症状でしょうか?
症状は、発熱や咽頭痛、咳などインフルエンザのような症状です。このような症状がある場合は、自宅でゆっくり静養するか症状がひどい場合は医療機関へご相談下さい。1月31日の現在の基準では、37.5度以上の発熱で、中等度の症状(肺炎など)、武漢へ行ったもしくは武漢から来た人と接触した、感染者と接触したという患者が、新型コロナウィルスの検査対象となっております。
これに当てはまらなければ、現在設定されている検査対象の基準では、新型コロナウィルス感染かどうかの検査してくれません。これが、日本国内で急速に広がっている要因の一つかもしれないのですが(軽症者は確定診断の検査はせず、そのまま自宅療養となっています)、インフルエンザのように検査キットがありすぐにできるものでもないので、感染の疑いのある人のすべてが検査を受けるのは、物理的に難しいと思います。
今や新型コロナウィルスの感染者は中国人のみではないと考えた方が良いと思います。誰でも感染している可能性があると考えて、自己防衛としての予防が大切です。しかしながら、あまり過剰に反応するのも混乱を招くだけです。健康な人は症状が軽く、重症化は少ないと考えると、あまり神経質になりすぎるのも良くないと考えます。
何より体調管理と手洗い・うがいの基礎的なことが最大の防御になりますので、まずはこれを実行・継続して頂ければと思います。